笑顔で送る母の特別な葬儀

【 山北 善明 様 ・ 恵子 様 ご夫妻 】

 

 

思いの全てを込めた葬儀になりました

98歳で永眠した母はとても華やかで明るく、多くの楽しみがありました。長きにわたり心を寄せていた古典文学、歌舞伎や百人一首と日本ならではのものや、様々なジャンルの音楽や踊りなどを楽しみ、笑顔が似合う女性でした。知的好奇心が旺盛で、70歳代の時に漢字検定1級を取りました。自らの手で人生を彩ってゆく母の傍にいれば、家族やひ孫にも自然と笑顔でいられるようなたくさんのことを教えて貰いました。

人生を閉じてゆく過程でも最後まで母らしくいられるよう、歌いたい事、やりたい事、食べたい物を、家族として支え、叶えてきました。お世話になった施設では、本当はだめだと思いますが、ある日の事ウクレレを持ち込み母の好きな曲を一緒に歌う事もできました。

もう帰宅が叶わない体調の中、私の家に帰りたいと母にせがまれ、施設の方とケアマネージャーの協力を得て、数時間ではありましたが帰宅しました。好きなものをわずかに食べ、歌を歌い、窓から見える富士山にうっとりと視線を向けた母の姿は忘れません。

 

母が亡くなり納棺をしました

コーディネーターの方から湯灌の説明を伺いましたので、しばらくお風呂に入れなかった母の為に、納棺師の人に是非にとお願い致しました。キレイにお化粧もしていただき、お気に入りの手編みの緑色のズボンも履かせていただきました。棺の中の母は穏やかで、とてもキレイになりました。家族としてとても嬉しく、肌はつるつるで「98歳とは思えない」と孫たちも申しておりました。

 

 

生演奏でお葬式?

お打合せの中で担当の方がいろいろと提案をして下さいました。もちろん母の事をよく聞いて下さった上で、音楽葬を提案して下さったのですが、CDで音楽を流すのかと思いましたら、生演奏でピアノとフルートがあると聞き、事前に母の好きだった曲をリクエストしました。夫もギターやウクレレを楽しんだりと家族皆、音楽が好きなので生演奏に感激でした。

そして送り出す私がお花が大好きなので、お花の祭壇の相談となった時、実際に祭壇を作る方を呼んで下さり、母がグリーンが好きという思いを受け止めて頂き、白とグリーンの素敵な祭壇を作っていただきました。

打合せの最後に、担当の方に「みなさんで歌を歌ったらどうですか?」と言われたので、「えっ、歌っていいの?」と思いましたが、滝廉太郎の「花」という曲に決めました。母の好きな歌でもありますし、学校でも習うのでひ孫も一緒に歌えると思ったからです。みんな遠慮して大きな声で歌わないだろうから、大きい声で歌うよう司会の方から伝えてもらいました。告別式ではみんな大きな声で歌い、きっと母も参加してくれていたことでしょう。

明るく楽しくなんてお葬式では不謹慎かもしれませんが、告別式当日は待っている間も生演奏を聴き、わいわい言いながら寄せ書きに母への思いや、思い出をそれぞれ書きました。喪服は着ているけど、明るく母の趣味にのっとって母らしく楽しい温かい時間が過ごせました。

お骨入れも、棺も、お花も、全てグリーン、生演奏も素晴らしく、会葬礼状もオリジナルで、類をみないあたたかい心に残る礼状でした。スライドで母の写真も流して下さり、ナレーションも心に寄添ってくれる素敵なもので、ここまでしてくださるとは思いませんでした。普通はお坊さんを呼ぶのでしょうけど、母は無宗教で、充分生きたので明るく送れました。

納骨も終わり、母は大好きな富士山の見えるところで父と一緒に眠りました。思い出したりする事も多くあり、心にぽっかりと穴の開いたような寂しさはありますが、母が喜んでくれればいいなと思います。

インタビューを終えて

ご主人は「サラリーマン時代にたくさんのお葬式にでましたが、自分がでたお葬式にはなかった進行で、ずっと心地よく、音楽も良くて全てに思いを込めたお葬式となりました。」とおっしゃっていました。故人様の唯一無二の人生を、お見送りする一人一人の思いが伝わってくる家族物語をお聞きする事ができました。